腰痛
はじめに
腰痛は肩こりや頭痛と同じく一般的にいつかは経験するありふれた愁訴でありながら腰痛のため転業や日常生活
に支障を来すことも多くあるのは事実ですが、ただし真の障害はそれほど多くはなく適切な安静と保存的治療を
続ければ症状が完全に消失しなくとも日常生活に支障なく過ごされている人が多いようです。但し慢性的に腰痛に悩んでいるのも事実です。疼痛の経過、職業、スポーツ、趣味等生活パターンを慎重に考慮し腰痛のメカニズムを理解し上手に生活を送りたいものです。
腰仙角（骨盤傾斜）の重要性について
抗重力に立ち向かう二足歩行の人間にとって頸椎と腰椎は解剖学
的に過度の前弯が制限されています。腰痛症の原因では静的で片寄った体の使用によって姿勢保持筋を退化させ腰椎骨盤リズムが上手に出来なくなるといわれています。
よって腰痛が慢性化する理由の一つです。正しい骨盤リズムを身につけましょう。
腰痛の私の考え方
＜変形性腰痛症＞
40年近く放射線科で腰椎のX線撮影、CT、あらゆる検査を担当して来ましたが50歳近くになると全ての患者さんは何らかの骨の変形、軟骨の狭小化と過骨？？？が見られます。やがて脊柱間狭窄症に移行し歩くのもままならない患者さんも見受けられます。
『腰痛がすぐ治った』と思わず起こる姿勢、同じ動作の繰り返し、重量物の取り扱い等、理解して身体を守る早期の腰痛対策が晩年を楽しく過ごすために何よりも重要でしょう。
猫背（円背）による腰痛症
猫背による腰痛は腰椎前弯が増強しています。（反り腰） まず胸椎の柔軟性の回復と短縮された前胸筋群と過伸展した膝の回復を図り正しい姿勢教育が必要になって来ます。又、首にも負担が掛って来ます。慢性化
しない内に生理的自然弯曲に近づける努力が必要です。
高年齢になり硬直化した胸椎（猫背）の患者さんが数多く見受けらます。私の推測では異常者が100%に達するのではないかと思われます。
腰痛だけでなく膝の痛みから始まり呼吸器、消化器など多彩な症状を呈する事になります。
少しでも腰椎と胸椎と肋骨の柔軟性を取り戻したいものです。
肩こりと腰痛症
腰痛持ちの方は肩こりを感じている患者さんが多い様です。
頸椎と胸椎、腰椎を支持しているのは脊柱起立筋群であり骨盤帯に付着しています。よって骨盤を含む股関節腰筋の伸長と柔軟性を確保することによって肩までの緊張が緩和されると考えて手技療法にあたっています。
腰痛体操
腰痛体操は本人にとって全て良いとは限りません。どの筋が短縮しているのか！腰仙角は！
股関節が硬いのか歪んでいるか！的確な姿勢分析が必要になって来ます。そのうえで理解して体操を続けることです。
平背と腰痛症
姿勢を良くしたい 胸を張って歩きたい 仕事中でも緊張して姿勢を正している人が見受けられます。それはそれで良い所もあるのですが脊柱起立筋は頸部まで直線的に緊張して筋の余力が失われています。生理的自然弯曲は無くなり腰仙角が強くなり『出っ尻』になっている人が見受けられます。
又、少し猫背気味の人は姿勢を気にするあまりより一層、腹部（おなか）を突き出して歩く姿を多く見かけます。現代社会では腹筋力・腰筋の低下で美しい歩き方をしている人を見かけなくなっています。私は『かくれ猫背』が腰痛の原因になることを注目しています。より早期に自然体に近づける努力するよう指導しています。
静力学的側弯
何らかの原因『足指、膝の骨折、捻挫』等の一方の下肢短縮による骨盤の下側下降の結果として発生する側弯を云います。
左脚が短縮して骨盤が左に傾斜する場合、脊柱は左に偏り体は左方向に倒れる傾向がありますので頭部の重心線を骨盤軸の中央に垂直にするためには腰椎が左凸側弯を起こし脊柱上部が右方向に倒れるのを防ぐために胸椎において代償作用により右凸側弯が生じます。
＜ワンポイントアドバイス＞
上記以外『仕事での不良姿勢、一方的な脊柱への負担、重量物のカバン等の一方的保持、
ヴァイオリン奏、内臓疾患の手術の後遺症』等などが原因になる時もあります。又、毎日繰り返して行う職業的体位によるもので変形性腰痛症により生活に支障をきたす患者さんもいます。
早期（学童期側弯が増加しています）から取り組み体のバランスを考えて生活する事が晩年腰痛で苦しまない秘訣だと確信しています。たまには健康診断と思い『腰椎Ｘ線検査』を受けて下さい！
平背と腰痛症
腰椎は正常に保たれています腰仙角の角度が大きくなっています 原因の指導と
理解で自然的弯曲を取り返しました。
変形性腰椎症
腰椎４番にスベリ症が見られます。
腰椎５番は椎間板の狭窄と過骨化が見られます。
腰椎の変形は年月と共に誰にでも起きることです。
必要以上に心配する事はありません。
治療しながら上手に腰痛と付き合うことです。
腰椎スベリ症（分離症）
腰椎４番がスベリ症です 長い間重量物の運搬と少し猫背が原因でしょうか、
年齢と共に多少のスベリ症患者は多く見受けられます。
過度の腰椎前弯を避けるよう指導し腰筋の柔軟性の腰痛体操を！
円背と腰痛症
円背が見受けられます 胸椎の代償作用として腰仙角が増大する人と少なくなる人と２通りあります。
胸腰部の圧迫骨折又は遺伝的要素もあり手技療法一番苦労します。
腰痛症で膝の痛み・肩こりも伴います。
いずれにしても少しでも胸椎と腰椎の柔軟性の回復が重要だと思われます。
静力学的側彎
腰椎左５番が過骨化があります。
代償作用として胸腰移行部に回旋が見受けられます。
腰椎を左に傾斜した仕事が原因だそうです。
変形があるものの比較的症状も安定しています。
むすび
総合病院の放射線科で腰椎Ｘ線撮影、その他各関節撮影、ＣＴ、内臓全般、消化器検診等、40年近く現在も週２回非常勤で勤務していますが、ウェルネス豊中を開設して腰痛患者の手技施術とX線分析を20年近く調査研究をして来ましたが『誰一人正常な腰椎は見受けられませんでした』すでに若い時から椎間軟骨の圧迫があり時には腰椎ヘルニアになる人もいます。
すでに腰椎変形は始まっています。腰椎奇形も調査の結果20%に達すると思われます。特に腰椎と仙骨に集中して奇形『腰仙化』があります。又、若年齢から『腰椎分離症』も発生している時もあります。腰痛の原因追究は深い医学的知識が要求されます。
現在の腰痛治療状況
西洋医学、東洋医学、理学療法、その他民間療法も一長一短があります。二足歩行の宿命なのでしょうか腰痛は仙骨が原因とか究極の腰痛法とかTVの番組で脳に原因とかよく言われています。一時的に良くなるでしょう。しかし個々の腰椎関節X線画像を見る限り、根本的に良くなったとはいえません。自分の腰椎形態と姿勢分析が重要な事だと思っています。私の方針は慢性的腰痛症に関してX線分析と姿勢分析、仕事の内容、生活等の内容
を加味しながらあらゆる腰痛療法を参考に腰痛が起こる原因を追究し生活習慣を見直すことが重要で、腰痛と
安心して上手に付き合うのが治療の第一歩だと確信しています。
『腰椎Ｘ線撮影、頸椎のＸ線撮影分析の健康診断』も勤務先の病院長と共に実施しています。又、各関節、股関節、膝関節、足関節等々で悩みを抱えている患者さんもお気軽にご相談下さい。
少しでもお役に立てたら幸せです。
